2日午前10時20分ごろ、秋田市新屋町の新屋海浜公園で男性が倒れていると消防に通報があった。男性は頭にけがをしていて、病院に運ばれたが、約1時間後に死亡が確認された。秋田県警によると、男性から約1メートルの場所に、近くにある風力発電の羽根が落下しており、関連を調べている。
県警によると、死亡したのは同市新屋元町の宍戸敬さん(81)。市によると、この風車は、羽根が一番上に来たときの高さが119メートル、羽根が描く円の直径は82メートルあるという。
気象庁によると、秋田市には2日朝から、強風注意報が発表されていた。同日午前7時52分には南東の風で最大瞬間風速23.0メートルを観測。風に向かって歩きにくい程度の強さだという。東北の上空で等圧線の間隔が狭くなり、強い風が吹きやすい状態だった。
県クリーンエネルギー産業振興課によると、この風車を設置したのは「さくら風力」(東京都千代田区)。2010年12月にも同じ場所で羽根が折れる事故があり、3枚のうち1枚が地面に落下したという。けが人はいなかった。
事故原因の詳細については現時点で不明な点も多いが、秋田県内のある風力発電関係者は「羽根の一部が金属疲労のように経年劣化していた可能性がある」とし、「点検などのメンテナンスをしていれば防げたのではないか」と話す。
「風力発電への不安が広がると、業界にとってもマイナスになってしまう」とも危惧する。事故を受けて、自社が管理する風車の総点検をし、問題がないことを確認したという。
日本海に面した新屋海浜公園は、同市が休憩用のあずま屋や舗装した園路などを整備し、管理している。公園に通じる道路には警察官が立ち、立ち入りが規制された。
亡くなった宍戸さんの近所に住む女性は「朝、自宅周辺を散歩するのが日課のようだった。きれい好きで、庭の草取りもよくしていた。(事故は)信じられず、本当に残念」と声を落とした。